仮想通貨取引所のバイナンス、フォーブスに2億ドルの出資を決定
世界最大の仮想通貨企業の一つであるバイナンスは、105年の歴史を持つメディアブランドであるフォーブスに対して、2億ドル(約300億円)を出資する予定です。
1917年に設立されたフォーブスは、長年にわたり家族経営で、ビジネス界の巨人たちを取材することでその名を知られてきました。しかし、メディア業界の多くがそうであるように、紙媒体からデジタル媒体への移行は簡単には進みませんでした。
2013年、フォーブス家は事業を売りに出し、香港のIntegrated Whale Mediaが株式の過半数を取得。さらに昨年8月、SPACを通じて株式を公開すると発表していました。
バイナンス、フォーブス両者の強みを生かすための出資
「フォーブスは、ブロックチェーン技術やすべての新興デジタル資産に関する複雑さを解明し、役立つ情報を提供することを約束します」と、フォーブスの最高経営責任者Mike Federleは述べています。「バイナンスのフォーブスへの出資により、世界有数の暗号取引所と世界で最も成功したブロックチェーンイノベーターが持つ経験、ネットワーク、リソースを手に入れることができるようになりました。すでにデジタル資産の新興世界に関心を持つ人々のリソースとなっているフォーブスは、彼らの協力により、この分野の真のリーダーになることができます」
バイナンスの創業者であるChangpeng ‘CZ’ Zhaoは、投資を発表した声明の中で、メディアの独立性を守るとしています。さらに、メディアを暗号資産市場と新興ブロックチェーン技術に関する消費者の理解を広めるために不可欠な要素と見ていると述べました。
「フォーブスは1世紀以上にわたって、所有者に関係なく、厳しい独立性を保っており、それは変わりません」と広報担当もBBCに語っています。
はたして、メディアの独立性・価値が守れるか
しかし、この出資のニュース対して、有識者の間で潜在的な利益相反に対する疑問を生んでいます。
実は、2020年11月、フォーブスの「規制当局を意図的に欺くために精巧な企業構造を構想した」とする記事に対して、バイナンスはフォーブスとそのライター2人を提訴しました。この訴訟は、昨年2月にバイナンスによって取り下げられました。
さらに、今回の取引は、暗号業界に大きな影響があります。ビットコインのような通貨は価値が急騰し、クリプト関連企業はスポーツスタジアムのスポンサー、広告、政府のロビー活動などに支出し、影響力を拡大してきました。
アナリストは、暗号資産は特に有名人やメディアの誇大広告による操作に弱いことが証明されており、世界中の規制当局から警告を受けていると指摘しています。
PwCのパートナーで、暗号関連企業にアドバイスをしているHenri Arslanianは、多くのクリプト関連企業が、メディアなどの新しい分野に進出し、その影響力を高めようとしていると述べています。
同氏は、たとえ双方が独立性を約束したとしても、バイナンスと米国の大手メディアブランドとの提携には疑問が生じると付け加えた。
「バイナンスがフォーブスの一部を買うのは、マクドナルドがイェルプの一部を、マリオットがトリップアドバイザーの一部を買うようなものだ」と彼はツイッターに書き込んでいます。
また、「直接的な利益相反はないかもしれないが、対立は残るだろう」としています。
フォーブスは現在、全世界で1億5千万人以上の読者を抱え、45のライセンス地域版で76カ国をカバーしています。フォーブスのオンラインコンテンツは、少数の寄稿者によって書かれた記事によって支えられています。
Web2のSNSの世界で弱ったメディアが、Web3の新しい世界でどのように生まれ変わることができるか、目が離せません。
出展:
Crypto exchange Binance to take $200m stake in Forbes
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フォーブスに2億ドルを投資するためのバイナンス(レポート)