ブロックチェーンの資金移動にかかる手数料
- 2022/2/10 06:20
- ヒヨコロ
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おはようございます、ヒヨコロです。🐤
今日は、ブロックチェーンの資金移動にかかる手数料についてお話していきたいと思います。
今日の話を理解していただけたら今後の人生でとても手数料が節約できるだけでなく、余計な資金移動を避けることができて安全にもなりますので、ぜひ見ていただけたらと思います。ていうか、今日の内容は理解していないとヤバいです、義務教育です。
次のような順序で説明していきます。
- そもそもブロックチェーンの資金移動って、どんなことをやっているのか
- 取引所を経由する方法
- ブリッジを使う方法
- 結局、どの方法がいいのか?
そもそもブロックチェーンの資金移動って、どんなことをやっているのか
まず、ブロックチェーンの種類と、そこで使われるトークンやNFTのことについて、改めて説明します。
図のように、いろんなネットワーク(ブロックチェーン)があります。ブロックチェーンというのはひとつの閉じられた世界です。
ゲームで例えると、Nintendo Switchとプレイステーションのようなものです。Switchのソフトはプレイステーションで使えないように、イーサリアムのETHはPolygonやSolanaでは使えないのです。
では、あるブロックチェーンから別のブロックチェーンへ資金を移動したい時はどうすればいいのでしょうか。そんな時は2つ方法がありまして、
- 暗号資産取引所を経由して送金する
- ブリッジサービスを使う
2のブリッジとは何なのかといいますと、ブロックチェーンの間でトークンをやり取りできるようにするサービスです。たとえばPolygonからイーサリアムに送金する時は次の図のような手順です。
1の取引所を経由するパターンでは、資金をいったんバイナンスなどの暗号資産取引所に送金して、そこから目的のブロックチェーンに送金します。例えばPolygonのETHをイーサリアムに送金する手順を図にすると次のようになります。
なんか2のブリッジと比べるとえらい手間がかかっているように見えます、ETHを送金したいのになぜMATICなの…??? となると思います。
ネットワークの種類は大事
これはとてもとても重要なことなので、よくよく理解してほしいのですが、PolygonのETHをそのまま取引所に送ると確実にGOX(資金を失う)してしまいます。なぜかというと、ネットワークの選択が違うからです。
悲しいことに、メタマスクで送金する時はなんの警告もなく送金できてしまいます…
しかし、ETHは取引所に届きません、闇に消えます…
手紙なら宛先不明で戻ってきますが、暗号資産は郵便屋さんのように親切ではありません、決して戻ってきません…ほんとうです…
これはほんとうに暗号資産の怖いところで、そう遠くない将来は絶対にウォレットに警告表示するしくみをつけるとか、そういうセーフティ的なものができると思うのですが、今は気をつけながら利用するしかありません。
それぞれのブロックチェーンは閉じられた世界なので、例えばイーサリアムならETH、PolygonならMATICなど、限られた一部の通貨しかやりとりできません。この取引できる通貨の種類はそれぞれの取引所ごとに個別に決められています。それ以外の通貨を送金してしまうと、取引所に受け入れ体制がないために資金がなくなってしまうのです。送金をするとき、ネットワークの種類はとてもとても重要です。
例えばBinanceでは、ETHを入出金できるネットワークは上の図のとおりで、Polygonネットワークを選択することができないのがわかります。送金する時、ネットワークの種類はとてもとても大事です。(2回目)
また、送金する時は必ず入金先のアドレスが使えるかどうか、そのたびに確認しないといけません。取引所のアドレスが一時的に使えないというのはよくあることなので、注意が必要です。
ブリッジサービスがやってくれていること
次にブリッジサービスの中身についてもうちょっとくわしく説明していきます、大丈夫ですか? 興味ありますか?
ブリッジ(橋)と言っても、トークンが橋を渡って向こう岸の世界に渡るわけではありません。ほんとは中間に「ブリッジサービス」があって、この人がPolygonで受け取った資金と等価値の資金をイーサリアムのあなたのウォレットアドレスに送っています。
ゲームの例えでいくと、Switchのマインクラフトをブリッジの管理者が受け取って、プレステのマインクラフトを渡すイメージです。「移動する」というよりは「交換する」というイメージが近いですね、だから、やってることは1と2で実は同じようなことで、2のブリッジサービスを利用すると、ブリッジ管理者がユーザーに見えないところで必要な交換をいろいろとやってくれてユーザーの手間を減らしてくれるのです。
だから、この裏でなんかごにょごにょやる手間がかかるし在庫リスクもあるからその分費用が高くなるはずなので、基本的には自分で1のように手間をかける方が手数料が安くなり、2のブリッジはちょっと手数料を支払っても手間をはぶきたい人向けのサービスということができます。
加えていうと、ブリッジは事故を起こすことがあります。少し前でいうと、Multichainの前身のAnySwapでは資金の移動に数日かかることがよくあり、たくさんのユーザーが震えあがったものです。今年に入ってからはMultichainに重大な脆弱性がみつかり、Wormholeで大規模なハッキングが起きました。
ブリッジには多額の資金が集まります。その割には取引所ほどの高いセキュリティを構築していないというところで狙われることが多いようです。
しかしまあ、自分で資金移動するのとどちらが事故の確率が高いかというと微妙なところかもしれません。重要なのは、取引所経由の資金移動では自分でミスを防ぐ努力をすることである程度「自分の身は自分で守ることができる」のに対して、ブリッジ利用には「自分がどうすることもできない」事故のリスクがあるということです。
鋭い人はイーサリアム内にETHとWETHがあることに気づかれたと思います。そう、ETHとWETHもまた違うものなのです…ややこしい。イーサリアムのDeFiやOpenSeaなどでは、ETHよりもWETHの方が便利なことが多いので、ブリッジではWETHを扱っているところもあります。
だいたいの費用比較
取引所を経由する方法
ではここで取引所経由とブリッジ利用の費用を比較しようと思います。
いろんなブロックチェーンの組み合わせがある中であくまで一例の、Polygon⇒イーサリアムの手数料を考えます。
① QuickSwapなどで交換 交換する資金の0.3%
② MATICネットワークの送金手数料 0.0001 MATIC(およそ0.023円:2月9日現在のレート)
③ MATICをETHに交換 交換する資金の0.1%
④ ETHをイーサリアムに送金 0.00625 ETH(Binanceの場合)(およそ2250円:2月9日現在のレート)
移動させたい資金の額によるのですが、仮に資金が10万円の場合2,650円、資金が100万円の場合6,250円かかる計算です。
また、送金先で使いたいトークンの種類にもよりますが、USDCやUSDTなど、複数のブロックチェーンでも共通して使えたり送金できたりするトークンを使うと、上の図の③の手数料をはぶくことができる場合があります。その代わり、④の手数料も変わってきます、Binanceの場合、USDCの送金には$35(約4025円)かかります。
ブリッジを利用する方法
では次にブリッジです、手順はつぎのとおり。
① ブリッジで送金 0.01 ETH + 0.5%(EVODeFiの場合)(0.01 ETHはおよそ3,600円:2月9日現在のレート)
2月9日現在一番お得だと考えられるEVODeFiで計算してみました。こちらも移動させたい資金額によりますが、10万円の資金の場合4,100円、100万円の場合8,600円かかる計算で、取引所経由に比べてそれぞれ2,000円ほど高くなります。
参考にいろいろなブリッジの手数料を表でまとめました。時価で変動するので、あくまで参考にとどめてください。そしてWormholeは最初にWormhole専用のトークンに交換が必要となり、手順も多く難しいので、初心者にはおすすめできません。
いろんなネットワーク、いろんなブリッジサービス
僕が知っている限りのブリッジサービスのリンクをまとめます。
1) Multichain(multichain.org)
2) xPollinate(xpollinate.io)
3) EVOdefi(evodefi.com)
4) Polygon Bridge(polygon.technology)
5) Wormhole (portalbridge.com)
誰かがまとめていただいているブリッジサービスの一覧表があります。これによるとPolygonからイーサリアムはcBridgeというサービスが最良らしいです。まだまだ僕は勉強不足です…。
まとめ〜結局どの方法が一番いいのか?
今日はブロックチェーン間の資金移動についてお話しました。
- ブロックチェーン間の資金移動では、「移動」というより「交換の繰り返し」を行っている
- ブロックチェーンの違いはゲーム機の違いのようなもの、ブロックチェーンが違えば同じ名前でも違うトークン
- 資金移動の方法は大きくわけて2つ、取引所経由とブリッジ利用
- 取引所経由は、安いけど手間がかかる
- ブリッジ経由は、少し高いけど手間がかからなくて便利
ということでまとめますと、
- 取引所経由は比較的確実に資金移動ができて手数料が安い反面、手間が多い。
- ブリッジ利用は、若干事故をする可能性が高いし手数料も高いけど、手間が少ない。
ということでどちらを利用するかは個人の好みだと思います。
しかし、そもそもPolygon⇒BSCなどのように手数料が安いどうしのチェーン間ですと、手数料が高くなるといってもわずか数円など、手数料が安いメリットがとても小さくなってしまう、それだったら手間の少ないブリッジ利用を好む人が多数派になってくると思います。
また、数百万円以上といった多額の資金を送金する時は僕なら取引所経由にします。それは、手数料の影響が大きくなることやブリッジがそもそも流動性が小さい場合が多いことに加えて、ブリッジ利用で万一の事故があった場合どこまで補償されるかわからないからです。
つまり…あくまでこれは僕の考えなのですが、次のような基準でブリッジにするか取引所経由にするかを毎回判断しています。
- イーサリアムに関係する資金移動は、取引所経由で行う(手数料の影響が大きい)
- イーサリアムが絡まない資金移動(例えばPolygon⇔BSCなど)は、ブリッジ経由で行う(手間が少ない)
- SolanaとのブリッジはWormholeの使い勝手がいまいちなので、取引所経由で行う(他に選択肢がない)
といったところです。
最近僕がはまっているSTEPNというアプリの利用を紹介する動画で、まずSolanaネットワークにSOLを送り、そのSOLをSTEPNウォレットに送るという無駄なことをされているものがありました。これは「同じチェーン内のウォレットに送金する」という不要な一手間をかけているので、今日のお話を理解していただいた人には「無駄なことだなぁ」と感じていただけると思います。
このように、「ネットワークのしくみ」を理解していないことによる無駄はたくさん発生していると考えられます。無駄な手間はよけいなGOX(資金の喪失)のリスクを増やしますので、これはもっと啓発しないと、と思った次第です。
基本をしっかり理解して、無駄なく安全なチェーン間の資金移動を行いましょう。
というわけで今日の内容は以上です、しつこかったですか、口調がうざくなかったですか? でももしあなたのお役にたてたら良いなと思います。
この手数料ブログは毎週木曜日に新しい記事を投稿しようと思います、来週は、銀行と取引所を加えて、日本円からDeFiやOpenSea、あ、STEPNへ! そんな資金移動にかかる手数料についてお話していこうかなと思います。手数料大好きなみなさんは楽しみにしておいてください!
それではまた、DeFi〜(@^^)/~~~