NounsDAOってどうなるの?Nounsホルダーの中島さんを直撃!
2023年9月9日にハードフォーク(分裂)が執行されたNouns DAO。
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「もっともDAOらしいDAO」と言われていたNouns DAOで今何が起きているのか?
Nounsホルダーであるエンジニアの中島聡さん(@snakajima)にX(旧Twitter)スペースでお話を伺いました。
対談の様子はこちらのVoicyで公開されています:
【対談】NounsDAO事件について中島聡さんに聞いてみた|Voicy
対談の概要:
- フォーク先のDAOに移った後、Nounsを手放していた
- NounsDAOに残るリスク
- DAOで貢献するには思った以上に手間がかかる
- 今はスマートコントラクトをどう活用できるか、に関心がある
- DAOに興味を持ったきっかけ
- Nounsの成長に必要な要素
- DAOの限界は感じていない
中島さんが語った内容は本編で紹介していきます。
Nounsの動向や、ホルダーの中島さんがどう考えてレイジ・クイットに至ったのか、関心がある方にとって興味深い話が盛りだくさんの対談となりました。
関連記事:投資家の怒りが生む現象: 「レイジ・クイット」の急増とその影響
フォーク先のDAOに移った後、Nounsを手放していた
Q.Nounsを手放した経緯を教えてください。
2022年11月のFTX事件以降、「暗号資産の冬」が到来すると共にNounsのオークション価格が下がってしまい、利ザヤで稼ごうとするトレーダーが入ってきて複数のNounsを購入していった。
最初トレーダーたちはNouns DAO全体を解散させてトレジャリーの分配を目論んだがうまくいかず、結果的にフォークさせた。
安く入ったトレーダーは儲かるが、OGは損をしてしまう不愉快な状況。
フォーク先への移行する人が過半数を超えた時点でフォーク先へ移行することを決めた。
Q.フォーク先で活動する選択肢はなかったか?
その考えはゼロだった。
選択は2つしか無かった。
- フォークせずに残り、Nouns DAOに貢献するか
- フォークして抜ける(レイジ・クイットする)か
フォーク先にどんな人がいるのか分からない。
フォーク先に移った後、レイジ・クイットせずに残っているホルダーが100名以上あるが、全員の素性を調べるのが大変でやってられない。
また、一部の人がたくさんの票(Nouns)を握っている偏った状態。
一部の人だけで意思決定して利益を独占する状況になりかねず、リスクが高い。
レイジ・クイットする際はソース・コードを何度も確認した。
実際にETHが支払われるまでかなりドキドキした。
NounsDAOに残るリスク
Q.NounsDAOに残っている人はどう考えているか?
NounsDAOに残っている人たちは純粋に思想やブランドに魅力を感じている。
Nouns DAOの内部では今後同じ事を繰り返さないためにどうするか話し合われているのではないか。
NFTを持っていないサポーターも約30名くらいいる。
多くはエンジニアで、仕事としてProposalを出してNouns DAOから報酬を得ている。
純粋にNounsをブランドとして育てようとしている人は少ないと感じている。
価格だけで見ると失敗だったのでこれからも頑張るだろうけど、「純資産÷発行数」よりオークション価格が下がってくるとまた、フォーク~レイジ・クイットの危機は起こる。
利ザヤ狙いの人が増えると今度は値段が上がるので、関心があるなら毎週「純資産÷発行数」と「オークション価格」を見比べて買い時を見つけることも可能。
Nounsのブランドを測る指標は「オークション価格」なので、残ったDAOに注目するならその数字は追っておくべき。
一部の人だけで秘密裏に動いて、一定数以上の投票があれば提案が通ってしまう。
今回のフォークで必要な投票数がさらに減ってしまった。
DAOとして成立しているのか疑問がある。
DAOで貢献するには思った以上に手間がかかる
NounsのようにDiscordを閉じた状態だと情報が分散してしまうので、提案を追ったり、ディスカッションの裏で話し合われた内容を追い始めると、専業でもない限り時間が足りない。
Bitcoinみたいにドライな仕組みであれば良いが、仕事をしながらでは時間が足らない。
一方で株式は中央集権だから株主はそんなに手間がかからない。
今はスマコンをどう活用できるのか、に関心がある
「ソフトだけでお金を動かせる」
「履歴を隠せない」
という特性をどう生かすかがポイント。
Bitcoinは美しく動いている。
各個人が利己的に動いても仕組みが成り立っている。
UniswapはDAOじゃないけど、スマートコントラクトを使って人を介さずにうまく機能している。
Q.スマートコントラクトでうまく機能している組織はあるか?
今のところ知らない。
スマートコントラクトを使ったビジネスもまだ思いつかない。
ガチャやP2Eのようなポイジスキームなら思いつくが、そんなことして儲けたいとは思わない。
まっとうなサービスが思いつかないので幻滅してる側面がある。
技術は生肉なので、料理をする必要がある。
今のところ出来上がった料理が楽して儲けるP2Eだけという悲しい状況。
モバイルゲームで儲けている会社も残念ながらガチャ。
情報弱者から搾取して設けるビジネスなのが悲しい。
割り切っている人たちが今頑張っている状況。
インフルエンサーの発言を見ていると利己的で悲しい。
DAOに興味を持ったきっかけ
Q.DAOに興味を持ったきっかけは?
今まで新しい技術が出てくる度に、その上に載せるアプリケーションを作るのが楽しいと感じていた。
- インターネット→ブラウザ
- スマホ→写真アプリ
など。
スマートコントラクトの良さはすぐに理解できなかったが、2021年に良さに気づいて勉強を始めて、その時にDAOにも入って勉強をはじめた。
今回は残念ながらビジネスに繋がらなかったが、こうしたことを繰り返すことで打率2割くらいで何かしら当たる。
趣味のようなものなので、特に苦も無くやっている。
今はAIに興味が向いている。
利用の仕方で分かりやすい価値が生まれる。
まともに儲けられると思うとエンジニアとしてインセンティブが生まれる。
Q. AI×スマートコントラクトで何ができるか?
ビットコインマイニングでは世界中のGPUリソースの奪い合いになっている。
AIをうまく組み合わせて効率的にGPUを使えないか?
機械学習とマイニングのバランスを調整できるサービスができれば、超スーパーウルトラユニコーンになる可能性がある。
Nounsの成長に必要な要素
Q. Nounsが今後IPを育てるにあたって考えるべきことは?
ブランド価値をあげることを真剣に考える必要がある。
NFTのコミュニティの中では有名だが、外(世間一般)では知名度は低い。
Proposalを出して、どうやったら知名度を上げるか考えてやっていくのが良い。
ブランドが育っているかの指標としてオークション価格を見ていけばよい。
DAOの限界は感じていない
Q. Nounsのハードフォークを通じてDAOに限界を感じるか?
DAOの限界は特に感じていない。
DAOには「スマコン」と「ビジョン」の2つ別のものがある。
「スマコン」の方は今も綺麗に機能している。
機能したからこそハードフォークが成功した。
「ビジョン」については簡単ではないことが証明されたと感じている。
まとめ
以上が対談の概要になります。
- フォーク先のDAOに移った後、Nounsを手放していた
- NounsDAOに残るリスク
- DAOで貢献するには思った以上に手間がかかる
- 今はスマートコントラクトをどう活用できるか、に関心がある
- DAOに興味を持ったきっかけ
- Nounsの成功に必要な要素
- DAOの限界は感じていない
詳細を聞きたい場合は以下のVoicyで聞けます:
【対談】NounsDAO事件について中島聡さんに聞いてみた|Voicy
また、今回インタビューさせていただいた中島聡さんのメルマガ「週刊 Life is beautiful」で「2023年9月26日号: NounsDAO の終わりの始まり」と題してNounsDAOについての考察を書かれています。
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