デジタルメディアコンテンツのハブとして機能するブロックチェーン【XPLA】とは?

6月末に京都で開催されたIVS CRYPTO 2023のPLATINUMスポンサーでもあるブロックチェーン「XPLA(エックスプラ)」。
日本ではあまり馴染みのない名前かもしれないが、スマホゲームの「サマナーズウォー」なら聞いたことがあるのではないでしょうか?

その開発・運営会社「Com2uSグループ」が開発したブロックチェーンが「XPLA」です。

XPLA公式サイト:https://xpla.io/
Com2uSグループ公式サイト:https://www.com2us.com/
参考記事:Com2uSグループ、KBW2022にてブロックチェーンメインネット『XPLA』公開

今回はIVS CRYPTO 2023にてXPLAの単独インタビューをさせていただきましたので、XPLAの概要やビジョン、他のブロックチェーンと比較した時の強みについてお伝えします。

XPLAの概要

XPLAは、シームレスで没入感のあるクリエイティブ体験を提供することで、デジタルメディアコンテンツ業界に革命を起こすために設計されたレイヤー1のブロックチェーンプラットフォームです。
ユニバーサル・コンテンツ・パワーハウスとして機能するXPLAは、クリエイター、消費者、企業を分散型エコシステムでつなぐことを目指しています。

XPLAのビジョン

クリエイターに力を与え、消費者にユニークな体験を提供する分散型、没入型、相互接続型のエコシステムを構築することで、従来のコンテンツ業界を変革することです。

①分散型コンテンツハブ

XPLAはゲームをはじめとして、音楽、映画、アート、メタバースのデジタルメディアコンテンツのハブとして機能し、クリエイターがブロックチェーン上で直接作品を公開、配信、収益化できるようにします。
これにより、仲介者が不要になり、クリエイターがコンテンツの所有権と管理権を維持できるようになります。

②クリエイティブ体験の向上

XPLAは、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、人工知能(AI)などの最先端技術を活用することで、最高のクリエイティブ体験を提供することに尽力しています。
これらの技術は、デジタルメディアコンテンツの没入感とインタラクティブ性を高め、ユーザーにユニークで魅力的な体験を提供します。

③不変性と透明性

ブロックチェーン上に構築されたXPLAは、コンテンツ取引の不変性と透明性を保証します。
すべてのやり取りとトランザクションがブロックチェーン上に記録され、トレーサビリティと監査が可能になるため、エコシステム内の信頼とセキュリティが促進されます。

④ネイティブ・トークン(XPLA)

XPLAにはネイティブ・トークンがあり、プラットフォームのエコシステムの潤滑油として機能します。
このトークンは、コンテンツの購入、クリエイターへの報酬、ネットワーク内のガバナンスなど、様々な機能を実現します。

⑤相互運用性と統合

XPLAは、既存のコンテンツプラットフォームとのパートナーシップやコラボレーションを確立し、シームレスな統合と相互運用性を実現することを目指しています。
これにより、コンテンツ制作者は、他のプラットフォームでのプレゼンスを維持しながら、より多くのオーディエンスにリーチし、XPLAエコシステムのメリットを活用することができます。

ブロックチェーン上のコンテンツ取引の安全性と透明性

Cosomos公式サイトより

セキュリティー面では、私たちはCosmosのテンダーミントの合意形成エンジンを使っています。
私たちのチェーンは分散型のパブリック・チェーンで、誰でも開発することができます。
現在、53人のバリデーター(承認者)がいます。
また、私たちの会社は上場企業であり、XPLAのGenesisコントリビューターでもあります。
そのため、チェーンは非常に厳しく監査されています。
参考記事:Tendermintの概要と仕組み、Cosmosとの関連性、取り巻くエコシステムに関してを解説|CryptoTimes

既存のコンテンツプラットフォームとの相互運用性

先ほど申し上げたように、XPLAはCosmosの上に構築されています。
Cosmosは基本的に、異なるチェーンと簡単に接続できるように構築されています。
IBC(※)のレイヤーは、私たちが持っているものに内在しているものだと思います。
そして、将来的にはCosmosを通じて、すべてのチェーンが相互接続された世界になると思います。

Wormhole公式サイトより

私たちはWormhole(ワームホール)やAxelar(アクセラー)とも協力しており、実際に19人のバリデーターはWormholeのバリデーターでもあります。AxelarはCosmosなどレイヤーゼロの投資家でもあります。
そのため、私たちはIBC以外に、他のチェーンとのブリッジするソリューションを数多く持っています。

※IBC(Inter-Blockchain Communication)とは?

IBCは、異なる台帳(チェーン)間の相互運用を実現するためのプロトコルです。
これは、複数の台帳が相互に接続し合うCosmosネットワークの、コアコンポーネントとして設計及び実装されています。
理論的には、あらゆるブロックチェーンがIBCを介して相互に接続し、通信することができます。

プラットフォーム上のコンテンツ制作者の知的財産権の保護

私たちはパーミッションレス・チェーンなので、誰でも開発することができます。
そしてこのブロックチェーンは、私たちが行っているすべてのコンテンツにセキュリティをもたらします。
私たちは知的財産を強く信じています。私たちはゲーム会社であるだけでなく、トランスメディア企業でもあるのです。
テレビ、映画、アニメ、KPOPやコミックなど、あらゆるジャンルを手がけています。私たちは、このような伝統的なWeb2コンテンツをWeb3領域に持ち込む最良の方法を見つけようとしているのです。

コンテンツ制作者の権利が守られるようにするためには、何が正しい方法なのか?
色んな手段があるので、日々考えているところです。

XPLAのエコシステムのガバナンスモデル

XPLAは分散型チェーンで、53人のバリデータによって検証されます。
そして、誰でも提案を出すことができ、最近の提案のひとつは、バリデータを増やすというものでした。他のチェーンと同じようなものです。

何か課題があれば、いつでも提案がなされます。
エコシステムについて何かを変えたいと思ったら、バリデーターの誰でも提案を上げることができるます。今はまだ10件未満で、定期的な提案はありません。
しかし、エコシステムが適切に成長するにつれてその数も増えていくと思います。

ユーザーベースの増加への対応

街に例えると、人口が多ければ、高層ビルを建てたり、より広く拡張することができる。
私たちはレイヤー1なので、その辺りの柔軟性があります。
サイドチェーン、Layer2のどちらの方向にも目を向けています。

他のブロックチェーンとの違い

現在、多くのブロックチェーンはどれもよく似ていると思います。しかし、私たちがこの1年間にやってきたことを振り返ってみても、私たちのチェーンはすでに大きく異なって見えると思います。
なぜなら、私たちはツールや標準、例えばゲーム会社に特化したツールをたくさん構築したからです。ですから、3年後、4年後、5年後に振り返れば、チェーンはすべてまったく違って見えると思います。

特定の分野に集中することは、我々にとって非常に重要です。今は、どのチェーンも同じようなものなので、開発者の多くはどのチェーンが優れているのか少し混乱していると思います。
でも将来的には、それぞれのチェーンで開発された技術はまったく異なるものになると思います。

今は誰もがゲームを開発している。しかし、すべての人がゲームチェーンを構築するための適切なスキルセットを持っているとは思いません。
私たちは、ゲームを構築することがいかに難しいかを知っています。
また、私たち自身がゲームを作ってきたコンテンツ・クリエイターであるため、どのようなツールが必要なのかも知っています。
だからこそ、既存のチェーンをベースにするのではなく、新しいチェーンを構築することにしたのです。

また、私たちの会社(Com2uSグループ)には2000人以上の従業員がいます。
今後も年間10~20本のゲームを開発し、そのすべてのゲームをこのチェーン(XPLA)に持ってくるつもりです。
ですから、膨大な数のユーザーベースを持つことになり、私たちのチェーンを利用するウォレットの数は非常に多くなると思います。
将来的に私たちのチェーンに参入してくる新しいコンテンツ開発者にとっては、良い基盤となるでしょう。

もうひとつは、多くのデベロッパーが多くのサポートを必要としているということです。私たちには世界中に10カ所のオフィスがあります。
ゲームの実際の配信や、ライブ・オペレーションをサポートすることで、とても役に立てると思います。 

Com2uS公式サイトより

日本のオフィスは東京にあり、30人が働いています。アジアでは、韓国が本社ですが、中国、日本、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシアなど、どこにでもあります。
そして、14の言語でゲームを提供しており、多くのコンテンツのアップデートを毎日行っています。

過去10年ほどずっとそうしてきたし、たくさんの蓄積があります。
「サマナーズウォー」というタイトルは過去9年間続いていて、今でも毎日同じ数のユーザーがプレイしています。
私たちはゲームの宣伝のために、各国で多くのCM制作もしてきましたが、特に日本のコマーシャルには度肝を抜かれました。すごく面白いです。

Web3にユーザーを呼び込むための施策

昨年Web3業界で行われたことは、幅広い顧客にアピールできるものではなかったと思います。
私たちがすべきことは、ユーザーにとって従来と同じような体験から始めるゲームを立ち上げることです。
ユーザーはApp Storeでゲームを手に入れたり、Steamでゲームを手に入れたりすることに慣れています。ですから、まずはWeb2ゲームとして開始したいのです。

モバイル業界やフリー・トゥ・プレイの業界でもそうですが、今の状態になるまでには多くの時間がかかりました。そして、私たちはまだWeb3の黎明期にいると考えています。
かなりの量のユーザー獲得と、とてもとても長期的なアプローチが必要だと思います。

ゲーム内エコノミーが100だとしたら、Web3エコノミーはその内の10程度にとどめて、ユーザーにはゲーム内でたくさん遊んでもらいます。
そして、彼らが上達するにつれて、私たちは徐々にWeb3を体験してもらうようにします。そして、さらに普及が進むにつれて、時間をかけてWeb3の部分を増やすことができると思います。
徐々に、というのが正しいアプローチだと思います。
今は誰もが物事を急いでいますが、それは間違っていると思います。

ウェブ 3は多くの可能性をもたらしてくれ、そして、多くの機能を備えていると思います。
ゲーム開発者にとっても、ユーザーにとっても素晴らしいツールになり、ゲームも以前よりもずっと楽しくなるでしょう。

バーチャルの世界で長く過ごすようになる世界戦と消費

Apple公式サイトより

Apple社の新デバイス、ビジョン・プロを見てわかるように、今後ユーザーはますます多くの時間をデジタルの世界で過ごすようになるでしょう。
私はすでに1日の半分以上をZoomに費やしています。
すでにデジタルの世界で生きていると言えますよね。

人々はデジタルの世界で過ごす時間が長くなっていくにつれて、物理的な資産に多くのお金を費やすように、バーチャルな世界でもより多くのお金を費やすようになると思います。
これを世界規模で行うためには、ブロックチェーン技術が欠かせないと思います。
だからこそ、私たちはWeb3の領域に対して非常に高い確信を持っているのです。
今後私たちが手がけるすべてのゲームにはWeb3の要素が含まれることになるでしょう。

ゲームは常に新しいテクノロジーへのアダプションの最前線にいる

Web3の領域ではユーザー・エクスペリエンスも、非常に良くなっていると思います。
しかしマス・アダプションにはまだ時間がかかります。
そんな中ゲームは、新しいテクノロジーを採用するための最重要なツールのひとつになると思います。
任天堂やプレイステーションなどゲームは常にテクノロジー採用の最前線にいました。

京都での滞在について

二条城でのパーティーのように、オフサイトのパーティーがたくさんあるのも気に入っています。
世界遺産じゃないの?と少し心配しましたが、すごく楽しめたし、とにかく驚かされました。

まとめ:Web3ゲームを開発するなら「XPLA」チェーンは有力な選択肢になる

9年以上のゲーム開発・運営の実績と経験をもとに、特にゲーム開発に大きなアドバンテージをもつレイヤー1ブロックチェーンと言えます。
ゲーム開発の競争が激化する中で、Web3の要素を取り組むことで差別化を図っていく動きは益々加速していくと考えられています。
参考記事:【IVSセッションPickUP#1】日本と韓国のゲーム産業とエコシステムについて

既に多くのユーザーを抱えるコンテンツを持っていることで、アダプションも着々と進めており、どのような魅力的なゲームが「XPLA」でデプロイされるか今後も注目です。

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