【WebXイベントレポート】日本のWeb3ここがズレている

2023年7月25日のWebXにて、佐藤伸介(@0xShin0310)氏と岡部典孝(@noritaka_okabe)氏、たぬきち(@web3_honey)氏が日本のWeb3.0の現状と問題点や世界とのズレについて話し合いました。
この記事では日本のWeb3.0が世界と比べて何がどうズレているのか、日本の問題点は何なのかを紹介していきます。

登壇者

佐藤伸介氏

2011年、東京、⾚坂にクリエイティブプロダクション会社Holyday Inc.( https://holyday.co.jp/ )を設⽴し、店舗開発やシステム開発、デザインなど多岐にわたる事業を展開。

2020年より、シンガポールを拠点に決済システム開発事業を展開しつつ、Web3分野のプロジェクトマネジメント⽀援、開発パートナーとして活動。

2021年よりシンガポールで⾃⾝初のWeb3プロジェクトとしてSlashプロトコルの開発を開始。

2022年5⽉にBritish Virgin IslandsにSlash Fintech limited( https://slash.fi/ )を設⽴し分散型台帳技術を使った決済システム「Slash Payment」を運営する。

引用元:「UIUXとボラティリティの改善で暗号通貨決済サービスの普及を目指す」 Slash Fintech Ltd. 佐藤伸介氏

岡部典孝氏

2001年 一橋大学在学中に有限会社(現株式会社)リアルアンリアルを創業、代表取締役/取締役CTO等経て取締役。

2017年 リアルワールドゲームス株式会社を共同創業、取締役CTO/CFOを経て取締役。

2019年 日本暗号資産市場株式会社(現JPYC株式会社)を創業、代表取締役。

2021年 iU情報経営イノベーション専門職大学の客員教授、BCCC理事、DeFi協会・ステーブルコイン部会長。

引用元:WebX公式サイト|スピーカー Noritaka Okabe

たぬきち氏 

BuzzBridge Capital創業者。
国内外のweb3プロジェクトをサポートする会社であるBuzzOneの共同創業者。
Web3カンファレンス「HONEYCON」、Web3業界の女性達へのエンパワーメントとサポートを目的とした組「Web3Girls」の創設者。
「BluechipParty」の共同創設者であり、BAYC JAPANやAZUKI JAPANなど、複数のブルーチップNFTコミュニティを運営。
IVS Cryptoの公式アンバサダーであり、Blockchain Collaborative Consortium(BCCC)のエバンジェリスト。
Web3 KOLとして、主にTwitterでweb3情報を共有し、NFTNYCをはじめとする様々な国内外のカンファレンスで講演を行う。

引用元:WebX公式サイト|スピーカー web3 honey

概要

Web3や暗号資産に関する法制度の現状について、グローバルな用語と、日本の法令用語として決められた用語の定義の違いが指摘されました。
また、法制度により厳しくなった部分がある一方、法制度の緩和などにより新規参入が容易になってきている面もあるとの意見もありました。
今後の展開として、スタートアップ支援を通じたイノベーションの促進や、行政機関とのコミュニケーションを密にすることが重要視されていました。
ズレが生じるのは必ず起こりうることであり、そのズレを修正していくことが重要という意見がありました。
また、用語の定義に関する教育の必要性にも言及がありました。

用語の定義のズレ

法令用語の日本語訳の定義の違いから、誤解が生じやすい状況になっていると指摘されました。
例えば、「ステーブルコイン」の定義は日本と海外で異なる点があり、これがスタートアップの参入障壁となっているとの指摘がありました。
ステーブルコインは法定通貨に価値を固定させた暗号資産です。
日本におけるステーブルコインとは、デジタルマネー類似型と暗号資産型に分類されています。
2023年6月1日施行の改正資金決済法では、デジタルマネー類似型ステーブルコインは「電子決済手段」と定義されています。
つまりグローバルな意味でステーブルコインを使う人と、日本で電子決済手段と定義されたステーブルコインを使う人とでは意味合いが異なり、意思疎通が正しく行えません。
このようなことが起こると、スタートアップがスムーズに進まなくなります。
関係資料:金融庁説明資料P3~P11

制度の在り方

Web3は中央集権型ではない、トラストレスの形で価値交換されることにその根幹があります。
しかしながら日本ではその根幹に対して規制がかかると指摘がありました。
Web3を国家戦略にしてどんどん打ち出していこうとしているにも関わらず、行政構造が既存のままなので、イノベーションの阻害になっています。
例えば佐藤氏が運営する「Slash Payment」という決済サービスを展開する際に日本円での受け取りニーズがあったようですが、同社は交換業者ではないために他の協力業者とともにその課題を解決していかなければなりません。

引用元:https://slash.fi/

日本は中央集権寄りの方向に向いているのでWeb3と言わない方が良いのでは?という意見も出ました。
しかしながら、最近では省庁の中でも特に金融庁が柔軟な姿勢を示してくれると評価する意見もありました。
関係資料:金融庁説明資料P13~P14
Slash Payment:https://www.youtube.com/watch?v=1i6owS5LjzM&t=1s

教育の重要性

Web3や暗号資産に関する知識が十分でないことを指摘する意見が複数ありました。
例えば法改正で言葉の定義が決まったのであれば、サイト運営者も記事をアップデートもしくは書き直していくべきだと言及されていました。
そうしなければ誤解されたままの初心者が生み出されていく事態になります。

今後の発展について

業界が盛り上がるにはスタートアップがたくさん出てくることが必要という意見がありました。
つまりスタートアップしやすい状況をつくることが重要となります。
しかしながら法規制が厳しいからといって、何もできないというわけではありません。
何十年と誰もやっていなかったからといってできないわけではなく、挑戦することが大事だと言及されて締めくくりとなりました。

リンク一覧

ライター所感

日本のWeb3とグローバルなWeb3との間に差が開いていくのは危険と感じます。
Web3の技術により、今後は今以上に世界中とつながりやすくなります。
そのような状況下で、日本だけが法制度により規制されてしまうと、世界から取り残されてしまいます。
事実、日本の起業家も日本の法制度の不便を感じ、海外へ流出しています。
日本が遅れを取らないようにするためには、積極的な法改正が必要です。
そして我々国民一人一人が正しい知識をつけ、日本がグローバルとかけ離れた方向に行かないように監視・判断できるようになる必要があります。

画像ソース:dRender / Shutterstock.com


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