99歳のジェネラティブ・アートのパイオニア、ヴェラ・モルナールがNFTコレクションを制作

  • 2023/8/12 22:37
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アルゴリズム・アートのパイオニアであるヴェラ・モルナール(Vera Molnár)が、Twitterのバード・ロゴを制作したチームの一員であるマーティン・グラッサー(Martin Grasser)と共同で、”Themes and Variations “と題した新しいジェネラティブ・アートNFTコレクションを制作しました。
このNFTコレクションは、世界最大級のオークションハウスであるサザビーズのジェネラティブ・アート・プログラムの中で発表されました。
輝かしいキャリアを持つ二人のアーティストが共同でコレクションを制作することは、NFT領域にとって大きな出来事です。

このNFTコレクションは、アートとテクノロジーが融合した画期的な作品です。
NFTで活躍するほとんどの人はヴェラ・モルナールを知らないかもしれませんが、NFTを通じてこのパイオニアについて知る人も増えてきています。

※本記事はNFTリサーチャー・コレクターのAtoza氏(@TheNFTAsian)のリサーチ内容を翻訳・編集してお届けしています。

ヴェラ・モルナールはどんなアーティストなのか?

ヴェラ・モルナールはハンガリー生まれのアーティストで、紛れもなくジェネラティブ・アート(コンピューターを使用したアルゴリズムにより作られる芸術作品)の伝説的存在です。
彼女は何十年もの間、ジェネラティブ・アートの実験に没頭し、現在のジェネラティブ・アートの道を切り開きました。
1968年、モルナールのジェネラティブ・アートへの旅は、ソルボンヌ大学にあるパリ大学のコンピューター・センターで初期のコンピューターにアクセスしたことから始まりました。
当初は「人間離れした」芸術に対する懐疑的な見方もありましたが、彼女はコンピュータを使った作品制作に執念を燃やしました。
1974年に制作された《De La Serie (Des) Ordres》は彼女の代表作のひとつです。

引用元: mutualart.com

2020年には初のガラス作品《Icône 2020》を制作し、ヴェネチア・ビエンナーレに出品するなど、新たな媒体にも挑戦しています。

年齢を重ねてもなお、モルナールは新しい素材や技法を試し続け、芸術と革新への変わらぬ情熱を示しています。

ジェネレイティブ・アートが生まれた経緯

1960年代後半からアルゴリズム・アートを創作してきたモルナールは、グラッサーとともに、500のユニークな作品を生成するシステムを考案しました。
これらの作品には、数十年にわたり彼女の作品で繰り返されてきたテーマである、さまざまなアルファベットの文字が使われています。
このシリーズは連続したもので、ある作品の背景が次の作品の前景に反映されています。
モルナールはまた、このNFTコレクションのために彼女のお気に入りのパステルクレヨンの色彩を取り入れました。

オークションの様子

オークションは2023年7月下旬、サザビーズ300年の歴史上初のダッチ・オークション(高値で入札を開始し、買い手が現れるまで時間をかけて価格を下げていく)で行われました。
オークションは上限価格20ETHで開始され、オークション開始後1時間以内にすべての作品が落札され、それぞれオークションの基準価格である1.5ETHを上回る価格で取引されました。
オークションの売上総額は631ETH、120万ドルでした。

ライター所感

美術史の歴史は常に新しい技術によって塗り替えられてきたと言って過言ではありません。
参考記事:サルでも分かる美術史・油絵具の発明|Goro
コンピューターの誕生によって新たなアートが生まれ、彼女のように決して現状に満足せずに新しい領域に挑続けることで道が開け、今またブロックチェーン技術によって新たな道が開かれようとしています。
100歳を目前に、新しい作品を生み続けるヴェラ・モルナールの情熱と探求心に感服するとともに、新しい技術がアートそのものや、アーティストの創作活動にもたらす変化について引き続き注目していきたいです。

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