ブロックチェーンを活用したデータ共有で、新しい市場創造に向けた実験が福岡市で始まる
暗号屋、ぷらっとホーム、福岡地所の3社によるブロックチェーンを活用したプロジェクトが、福岡市と福岡地域戦略推進協議会の実施する「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択された。
「PTPF(Payload Transaction Platform Protocol)」は、ブロックチェーンを活用してデータを相互利用をして、取引ができるプラットフォームで、従来のシステムで課題となっているデータ連携の課題を解決して新しい価値を創造する可能性がある。さらに「PTPF」を活用することでデータの売買が可能となり、参加者にもデータ収益を分配することでメリットが提供できるという。
各地で進むスマートシティ構想
現代の都市は、エネルギー、環境、交通などの課題を抱えている。この課題を解決する策として、様々なデータを活用して最適化するスマートシティ構想が立ち上がっている。
例えば、広島県東広島市では市内に広島大学など4つの大学が立地する知的資源を生かし、自治体と大学の連携を核としたスマートシティ構想に取り組んでいる。また、静岡県裾野市では、トヨタ自動車が中心となり、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、人工知能(AI)など、新技術を導入・検証するプロジェクトが進んでいる。
スマートシティの課題
スマートシティは、特定のエリア・分野で、気象、交通、エネルギーなどの情報を共有して、効率的な都市運営に生かそうという試みである。中心となる自治体・ベンダーが音頭を取って進められるが、中心があるがゆえに以下のような課題を抱えている。
・各分野・各都市でバラバラに試みが進んでいる
・参加者にメリットがないため十分なデータ/センサーが集まらない
・中心となる企業・団体によるデータの独占とプライバシーの問題がある
システム/デバイス間での情報共有のためにブロックチェーンの技術を活用
このように、スマートシティ構想もデータ連携の点で課題を抱えており、それをブロックチェーンで解決しようというのが今回の試みである。この試みで以下の点が解決できる。
・ブロックチェーンを活用した共通言語で、各分野・都市でバラバラに蓄積されたデータを連携できる
・参加者にレベニューシェアを還元することで、十分なデータ・センサーの導入を促進する
・データを抱える中心が存在せず、データ所有者が承認しなければ、データ取引が行われない
実証実験の概要
今回採択されたのは、「PTPF」を活用し福岡市内のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」に設置されたIoTデバイスデータの相互利用とデータ売買の可能性を探るという実証実験である。
例えば、施設内に、人感センサーを設置している会社とCO2センサーを設置してる会社がある場合、それぞれは別々のシステムでデータを蓄積して施設に価値を提供している。しかし、この別々に蓄積されたデータをPTPFを活用して共有できれば、IoTデバイスの自社開発 が必要ないだけでなく、そもそもデバイスがなくてもデータの購入が可能となる。ここで挙げた事例で言えば「3密を回避するサービス」など新しい価値を提供し、さらにデータの収益を分配できるのではないかというのが今回の取り組みである。
暗号屋代表社員の紫竹佑騎氏は「新しい経済」の取材に以下のように答えている。
「現在スマートシティなどで活用されている IoT データは中央集権的に扱われたり、特定のベンダー(メーカー)の製品・技術への依存により、相互利用性の低いものがほとんどです。これは データ集約型の仕組みが妨げの原因を作ってしまっていると感じています。PTPFはその問題をあたらしいインターネットWeb3の流儀でもある、『持たない』、『不正しない』、 『みんなで創る』等の考えをもとに解決を目指します。そして、これらはインターネット上に非中央で分散型の共通基盤を創る事で実現できると考えています。例えばWebサイトを閲覧する際の ブラウザは何でもよかったり、ビットコインを利用する際のウォレットは何を使っても良いように、 間の仕組みはインターネット上に実装されています」
出展:
新しい経済「福岡市がブロックチェーン活用IoTデータ取引基盤「PTPF」 の実証サポート」
IoTデータ取引基盤「PTPF™」を活用したスマートシティ化への取り組みが福岡市実証実験フルサポート事業に採択決定