【IVSセッションPickUP#2】地方創生×DAO デジタル村民による新しい地方創生
本記事では、IVS最終日の6/30に行われた『地方創生×DAO』の対談概要をお届けします。
Web3.0時代が地方創生にどのような影響を及ぼすのか。
その先頭に立つ4人の専門家が議論をしました。議論の要約と考察をお伝えします。
他のIVSのセッションの概要は以下から読むことができます👇
【IVSセッションPickUP#1】日本と韓国のゲーム産業とエコシステムについて
【IVSセッションPickUP#3】ビットコインのユーティリティとBRC20 Ordinalsのエコシステム
【IVSセッションPickUP#4】Web3プロジェクトが気を付けるべきコンプライアンスとは?
日本の地方創生とDAOの事例
地方創生×DAOの事例が3つ紹介された。
①山古志村DAO
②岩手県紫波町「Web3タウン」
③美しい村DAO
①山古志村DAO
人口800人の限界集落がNFTを発行し、「デジタルアート×電子住民票」としての取り組みが2021年末に開始された。NFTの第一弾セールにより、約350人のデジタル村民が誕生。デジタル村民の約40%は初めてのNFT購入体験であり、話題となった。「山古志デジタル村民総選挙」も行われ、山古志地域を存続させるためのプランをデジタル村民より募集するなど、地域づくりに努めている。
②岩手県紫波町「Web3タウン」
岩手県紫波町は、海外も含めた人材にまちづくりへの参加を可能にする、最先端のデジタル技術「Web3」を積極的に活用方法に取り組んでいる。Web3の技術を活用し、どこからでもまちづくりに参加できる「DAO(分散型自立組織)」を設立。町民参加型の自治体運用方法の定着を目指し、NFTを活用したふるさと納税返礼品の開発を行う。
③美しい村DAO
鳥取県智頭町と静岡県松崎町の2つの自治体で運用。2023年3月1日に『美しい村NFT』の予約販売を開始。2023年3月6日〜3月12日に東京丸の内で『日本で最も美しい村 デジタル村民の夜明け』イベントを開催。地方創生におけるWeb3(DAO、NFT等)の可能性が体験できるイベントとなった。内閣府がバックアップし、Gaiax(ガイアックス)がシステム開発・コミュニティ運営を行っている。美しい村PJ事務局とも連携し、地域資源を活用したNFT化企画(疎開権利や棚田の所有権など)を進行中。
世界のLocalDAO
日本ではなく、世界のDAOではどのような動きがあるのかが議論された。
スイスやエルサルバドルでは既にLocalDAOの取り組みが始まっているとのこと。スイスでは、ETHファウンデーションの存在により、DAOや仮想通貨の利用が文化的に進んでいる。エルサルバドルでは、DAOというよりも、仮想通貨の利用が目立つ。しかし、まだ世界的にはDAOの運用事例は少ない。その一方で、DAOを活用した新しい試みも存在する。警察の賄賂を防止するためにポリゴンチェーンで罰金のやりとりをしている事例がある。
日本のLocalDAOの展望
日本では、DAOの導入に対して比較的積極的な姿勢を示している。ステーブルコインを認めれば、政府が法整備を行いDAOを導入する世界初の事例となる可能性が見えてくる。アメリカは、国としてDAOを認めていないとのことだ。
DAOが本当に必要なのか、どのようにしてDAOを運用すべきなのか、といった議論はまだまだ続いている。どのような法人形態が最適なのか、どのようにDAOとして成立させるのか、その道筋をどう描くかといった問題解決が必要だ。
ステーブルコインへの期待
ステーブルコインへの期待について議論が展開された。ステーブルコインは、為替レートと連動した仮想通貨で、LUNAやTERAなどのようにアルゴリズムで運用するものとは異なり、急な価値の変動リスクが少ないというメリットがある。
まとめ
本議論から、Web3.0時代の地方創生はまだ始まったばかりであり、これからの展開が非常に期待されることが見て取れる。山古志村も最初はDAOではなく、最初はNFTのみであった。どうすればDAOとして成り立つのか?どういう法人形態があるのか?これらをデジタル住民らが会議で議論をしている。一方、美しい村DAOではトークンを発行しようとしているが、ボラティリティが気にされている。価値の維持や、スマコンをどこにいれるかが難しいとのことだ。デジタル村民による新しい地方創生は、まだ始まったばかりであり、今後の動向に注目が集まる。