あらゆるウォレットアドレスを一つの名前で扱える「Mycel」体験レポート
- 2023/8/3 17:07
- Crypto
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ブロックチェーンの世界では、複雑なアドレスが、あなたのウォレットを表す記号列になります。
しかし、とても覚えることはできません。
イーサリアムだと、「ENS」というネームサービスを利用している人も多いでしょう。覚えやすい文字列をアドレスに紐づけることができます。
しかし、「イーサリアムで使えているENSは、polygonでは使えない。」こんな現状にため息をついた経験はないでしょうか?
そこで、この問題を解決する新しいプロジェクト「Mycel」が登場しました。私たちは、テストネット版のMycelを実際に試してみました。その結果、Mycelが提供するユーザーエクスペリエンスとその可能性について、洞察を得ることができました。
ネームサービスとは?
ネームサービスとは、ウォレットの複雑なアドレスを、覚えやすい名前に変換するシステムのことを指します。これにより、ユーザーは複雑なアドレスを覚える必要なく、簡単な名前を通じてアクセスすることが可能になります。
現状の課題
既存のネームサービスは各チェーン上のdApps(分散型アプリケーション)として運用されていますが、他のチェーンとの相互運用性が欠けており、各チェーン上で独立して管理されています。これにより、ユーザーは複数のプロトコルからアクセス可能なドメインを管理するための分散型ネットワークが必要となります。
Mycelの解決アプローチ
Mycelは、ウェブサイト、ウォレット、IPFSなどのアドレスを解決できる分散型ネームサービスインフラストラクチャです。呼び出すための手段として、ブロックチェーン上のスマートコントラクトや、ブロックチェーン間通信のIBCをサポートしています。
Mycelの目的は、分散型ネットワーク上でドメインを管理する「ドメイン管理エコシステム」を構築することです。
実際に試してみる
詳細な手順は、こちらの公式ブログに掲載の動画に沿って行えば、どんなサービスかをより理解することができます。
Mycel “SHUGYO Network” is Live. Mycel is the first blockchain as “Layer… | by Yosui | Jul, 2023 | Medium
試してみる過程で気づいたポイントをいくつか解説します。
まず、接続にはKeplrウォレットが必要になります。
KeplrはCOSMOS系のブロックチェーンに接続するためのウォレットです。
今回、Mycelのテスト版である「MYCEL-SHUGYO Network」が、COSMOS系のアプリ特化チェーンとして動いているため、必要になります。
取得したMycelのドメイン「yasuyasu.cel」に対して、イーサリアムのGoerliテストネットのアドレス(記者保有のアドレス)を紐づけた結果の画面です。
このように紐づけると、他の誰かが、「yasuyasu.cel」という宛先に対して、GoerliETHを送付することが可能になります。
現在、全7種類のテストネットをサポートしています。「yasuyasu.cel」という文字列さえ覚えていれば、紐づけされた様々なブロックチェーンに対して送金ができる、ということですね。
今後のロードマップ
Mycelの開発チームは、2023年から2024年にかけて、一連の重要なアップデートを予定しています。これらのアップデートは、Mycelの機能を大幅に拡張し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることを目指しています。
2023年の3Qには、ドメイン名のプレセール(NFT)が行われる予定です。
(出典:Roadmap | Mycel docs)
オピニオン
数多くのブロックチェーンが相互運用し、共存する未来において、ブロックチェーンの数だけアドレスを持たなければいけないというのは、ユーザーにとって非常に煩雑である。一つの名前でそれらをまとめることができるようになるメリットは、ユーザー体験として非常に大きいと考えます。
一方で、サービスが広がった後に、ネームサービスが障害点となり、ダウンしたときの影響は大きいものになるでしょう。名前の対応を書き換えるようなハッキングにも十分な対策が必要です。
Mycelでは、ネームサービス自体が分散した、一つのブロックチェーンから成っており、バリデーターによるガバナンスが存在します。従来の中央集権的なサーバーによるサービスに比べ、耐障害性、ハッキング耐性は優れていると思われます。
今後のサービス展開、認知の拡大に、期待が高まります。
参考
Mycel
分散型ネームサービスのインフラプロトコル「Mycel」、テストネット「SHUGYO Network」ローンチ | あたらしい経済