クリエイターのイラストを無断のAI学習から守る「emamori」

  • 2024/1/18 23:25
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電子透かし技術を用いて無断のAI学習からクリエイターのイラストを保護するサービス「emamori」が、1月17日にSnackTime株式会社から正式リリースされました。

NFTクリエイターが、AI学習に対しての意思表明をしている事例も併せて紹介します。

無断のAI学習からイラストを保護

「emamori」はクリエイターのイラストをAI学習から保護するサービスです。
「emamori」でイラストをアップロードすると、人間の目で見ても目立たない程度の特殊な電子透かし・ノイズが挿入され、保護加工されたイラストデータが出来上がります。
この保護加工は、無断のAI学習に対して正確なAI学習の妨げになり、模倣AIイラストの生成を一定阻止することを図るものです。
このイラスト保護技術には「Mist」が採用されています。

保護技術「Mist」

emamoriの採用するイラスト保護技術「Mist」は上海交通大学の研究チームが開発したもので、オープンソース化されています。
「Mist v1」に関連する論文はICML2023にも採択されました。
ICMLは機械学習分野で世界的に最も著名な学会の一つで、論文採択率は27.9%と、難関国際会議として知られています。
MistはGPL v3.0に基づいているため、emamori v2もGPL v3.0が適用となります。
ソースコードはGithubにて公開しています。

GPL(GNU General Public License)
自由ソフトウェアのためのライセンス。
ソフトウェアを利用者に対して自由に共有・変更・再配布できるようにすることを目的としています。

・Mistに関連する論文:Adversarial Example Does Good: Preventing Painting Imitation from Diffusion Models via Adversarial Examples.
・Mist Webページ:https://mist-project.github.io/index_en.html
・Mistソースコード(Github):https://github.com/SnackTime-dev/mist-protection

著作権をめぐる問題

生成AIの普及によりビジネスシーンやプライベートシーンの様々なシーンで便利になっています。
その一方で無断のAI学習は著作権の問題と切り離せない状況です。
それを懸念した一部のクリエイターが、自身がWebページやSNSでアップロードしていたイラストを非公開や削除といった対応をしています。
クリエイターの創作物の価値の低下についても懸念されています。

日本の著作権法では、許可を得ずに著作物をAI学習に利用することが可能とみなされており、日本は世界から見ても「学習天国」と揶揄されることもあります。
このような生成AIをめぐる著作権に関して、日本政府は歯止めをかけたい意向です。

また、NFTクリエイターの方も「AI学習は禁止」とX(旧Twitter)のプロフィールで記載されている方は多くいます。

https://twitter.com/nakasaki_nft/status/1665926885606588416

1週間の無料体験キャンペーン中

正式リリースを記念して、全3種の有料プランについて、2024年1月17日から1ヶ月間に限り、1週間の無料体験が提供されています。

ベータテストが開始された2023年8月2日からの無料会員にはMist v1、3種類の有料プランでは、上位モデルであるMist v2の利用が可能となります。
Mist v2は、v1に比べて保護によるノイズが減るとともに、「既存の電子透かしツールがLoRAから保護する機能を欠いている中、LoRAに対する保護機能を持つことが体系的に検証された最初の電子透かしツール」とされています。

LoRA(Low-Rank Adaptation)
LLM(大規模言語モデル)や画像生成AI(人工知能)を効率良く調整する手法の1つ。
非常に少ない計算量で追加学習ができるモデルです。

関連記事:v2の保護効果の詳細
emamori Webページ:https://emamori.com/registrations
公式X(旧Twitter):@emamori_ai

ライター所感

生成AIと著作権は必ず起こる問題です。
生成AIに無断学習されることをクリエイターが危惧すると、クリエイターの創作活動が阻害されます。
クリエイターが自身の活動に100%取り組むためには、こういったサービスが突破口になるでしょう。
先日紹介した政府主導による生成AIの研究も、まさにこのように生成AIと著作権の問題をクリアするために発足されました。
この課題について、確実に時代が前進していると言えます。

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小林 祐貴記者

投稿者プロフィール

2022年からWeb3、NFTの世界に入る。
2022年8月に開催されたNFTイベント「Non Fungible Chronicle」など、様々なプロジェクト運営に関わる。

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