NFTの発明者から学ぶNFTの本質

NFTはどのようにして生まれたのか?何のために開発されたのか?
この記事では、NFTを発明したと言われているケビン・マッコイ(@mccoyspace)氏の話を中心に、NFTの本質をお伝えしていきます。
NFTはただの技術であり、ツールでしかありません。
しかし、使い方次第では人を幸せにも不幸にもできます。
NFTが社会に役立つ使い方を一緒に考えていきましょう。

こう思っている人にオススメ
・NFTに幻滅している人。
・NFTを技術として面白いと思う人。
・NFTは金融商品として魅力を感じない人。

NFTの発明者ケビン・マッコイ氏とは

NFTを発明したと言われているのは、アメリカ・ニューヨークに住むケビン・マッコイ氏です。
ケビン・マッコイ氏は、夫婦でアート制作をしているアーティストであり、アーティスト達に力を持たせる活動をしている活動家でもあります。
彼の夢は ”アーティスト達が生活できるお金を稼ぎ自分の作品を自由にコントロールできるようにすること” です。
2014年にQuantumという名のデジタルアートをビットコインから派生したNamecoinで作成し、その後Quantumは2021年にオークションサイトSotheby’sに出品され約150万ドルで落札されました。
その作品が現在のNFTの発祥と言われています。

ビットコインとの出会い

マッコイ氏はQuantumを発表する以前から、ずっと収益化できていないアーティスト達がどうすれば収益を得られるようになるかを考えていました。
いろいろな試みや新しいテクノロジーを探求した結果、彼はビットコインにたどり着きました。
そこでNFTの概念が生まれたのです。
後に彼はこう語っています。

ビットコインは私にとって新しいフレームワーク、新しいシステムを理解しようとする入り口でした。
そのシステムを理解しようとするとき、本当に苦労したり、理解に苦しむ瞬間がありました。
すべてが利用可能で、すべてが存在している。しかし、どういうわけか、個人が独自に所有することができる。
(中略)
そしてブロックチェーンの取引可能な資産やトランザクションのコンテキストをまとめると、アート作品のデジタル所有権や出所(でどころ)のようなものができたのです。
つまり、私たちの作ったシステムは技術的な発明というよりも、芸術的で創造的な発明だったのです。

参考記事:NFTs and the Law of the Blockchain

2014年に初めてのNFTであるQuantumをミント

2014年5月、マッコイ氏は、ソフトウェア起業家のアニル・ダッシュ(@anildash)氏とニューヨークで毎年開催されるイベント「Seven on Seven」でペアを組むことになりました。
その際、ブロックチェーン技術を使って、デジタルアートの消えない証明と所有権のようなものを作るというアイデアがありました。
そのアイデアでマッコイ氏がブロックチェーン上に初めて登録したのが、「Quantum」です。
彼らはこの技術を発表するために研究は深夜まで続き、当初皮肉を込めて「monetized graphics(お金を稼ぐ画像)」と名付け、オリジナルのデジタルアート作品を検証するためのブロックチェーンベースのシステムを共同開発しました。
これが現在はNFT(non-fungible tokens)という形になり、数十億ドル規模の市場の基盤となっています。

NFT市場へのお金の流入

この画期的なシステムをマッコイ氏は数年間普及させようと努力しましたが、時代を先取りし過ぎていたため多くの人には受け入れられず、成功は限られたものでした。
しかし、思わぬ形で普及することになります。
2018年と2019年に分散型金融が成功したことで、行き場のない大量の富が生まれました。
その富を持つ人たちは、最終的に自分たちの世界観と積み重ねた技術にマッチするNFTに資金を流し始めたのです。
この時マッコイ氏はこう語っています。

NFTに人々が接するのを見るのは嬉しいが、NFTが巻き起こしたゴールドラッシュには恐怖を感じている。
NFTが金融投機のプラットフォームとして使われるとは思ってもみなかった。

参考記事:The year of death & rebirth for NFT – International Finance

マッコイ氏が考えるNFTの未来

しかし結局、他のバブル経済と同様、NFTもブームが去ったことで価格が急落し多くの人たちが興味を失っていきました。
それでもなお彼は、ブロックチェーン技術がアーティストの活動維持に役立つと信じ、その為には多くの人々の努力が必要だと語っています。

2014年のあの日は、ブロックチェーンがアート作品にどのような影響を与え、どのように交わることができるのかについて考えていた1年半の仕事の集大成でした。
それ以来、私はそのコミュニティに深く関わってきましたが、何年もの間、ほとんどの人は私たちが話していることを理解できませんでした。
しかし、何人かの人たちはこのアイデアに賛同し、このアイデアの周辺を構築していきました。
今となっては突然のことのように思えますが、長い年月を経てきたのです。
私は少し違った視点でこの技術の変革の瞬間を見てきたからこそ、行き過ぎた部分を見過ごすことができるのかもしれません。
だから、私は楽観的な見方をしているのは事実ですが、この前向きな感情は自然とそうなったわけではありません。
ここにたどり着くまでにはたくさんの努力と用心深さが必要だったからです。
この市場が公平になる未来を築くためには、さまざまな人々が誠意を持って関わる必要があるでしょう。

参考記事:Interview: Kevin and Jennifer McCoy on Their Sundance NFT Project – ARTnews.com

ライター所感

アーティストの作品を守るために作られたものが、一部のお金儲けの人たちの遊びに使われたことは残念でなりません。
NFTはまだまだ未来や用途が未知数であるため、これからも発展していくことでしょう。
私はNFTはあくまでただの技術、道具であり、そのもの自体には価値がないと思っています。
しかし、NFTはアーティストの作品に使用することで有用性、価値、そして力を与えることができます。
他にもNFTを使うことでいろいろなものに”意味”を持たせることができるのです。
テクノロジーは社会のためにならなければ存在する価値はありません。
NFTをどのように使うことが社会のためになるのか?
ここまで読んでいただいたあなたも、ぜひこの機会にちょっと考えてみてください。

参考資料:NFTの発明者ケビン・マッコイ氏『将来価値が上がる予想で買う意味はない』|palpalのweb3/NFTラジオ
画像引用元:4100万点以上の高品質なフリー画像素材 – Pixabay –

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