【必須知識】NFT関連の法律シリーズ「著作権」
デジタル時代の到来により、アートの世界も新たな一歩を踏み出しました。
NFT(Non-Fungible Token)という新たなテクノロジーが、デジタルアートを所有し、取引する方法を根本的に変えつつあります。
しかしながら、この革新的なアプローチが著作権という法的概念と衝突する場面も出てきています。
本記事では、著作権の概要から始まり、NFTと著作権の関係性、注意すべきポイント、そして著作権違反の例について紹介します。
著作権とは
著作権は、創作物の作者に与えられる法的な権利です。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法 第二条 一項
その作品を制作・配布・展示・修正・複製・販売する権利を保護します。
著作権は著作者に経済的な利益をもたらすだけでなく、創作活動を奨励する役割も果たしています。
著作権は一般的に作品が制作された瞬間から自動的に発生し、一定の期間にわたって保護されます。
しかし、デジタル時代の到来により著作権の保護や適用が複雑化しました。
NFTと著作権についての注意点
NFT(Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン技術を利用してデジタルアセット所有を証明するものです。
しかしながら、NFTを所有しているとしても著作権は著作者にあります。
自分のNFTを利用して利益を得ることは違反になるケースがあるので商用利用する場合は注意が必要です。
例えば、ドラゴンボールやワンピースのような、他者が創作したものを自身でNFT化して販売した場合はまず著作権法に触れます。
ただし「CryptoNinja NFT」のように「CC0(Creater Common 0-著作者が自身の著作物の再利用を許可-)」であれば、商用利用可能です。
さらに、NFTの所有権は日本の法律上では認められていません。
民法第八十五条で
この法律において、「物」とは有体物をいう。
民法 第八十五条
と定められています。
つまりNFTのような有体ではないデジタルアセットには所有権が適用されません。
2023年7月に開催された国際Web3カンファレンス「WebX」においても、2ちゃんねる創設者の西村博之(ひろゆき)氏が言及しています。
関連記事:【WebXイベントレポート】ひろゆき登壇「ビットコイン・Web3は世の中に必要か?」 | NFT NEWS Japan (cryptojournal.jp)
著作権のNFTでの違反例
第三者によって原作者に許可なく他人によって制作されたNFTが販売されるケースがあります。
また、著名な作品を明らかに模倣したNFTが無断で作成され、販売されることもあります。
ここでは「CryptoNinja NFT」を例に挙げます。
左が本物で、右が贋作です。
本物との違いを挙げていきます。
- 贋作コレクションは「CryptoNinja NFT」の二次創作コレクションである「CryptoNinja Partners(CNP)」のデザインに酷似している。
- タイトルが「CryptoNinja NFT」と「CryptoNinjaNFT」で酷似している。
- 説明文に「22,222体」と書いてあるが、実際は「Items 12」とあるので12体しかない。
- そもそも説明文に「CryptoNinja Partners(CNP)」と書いている。
- 本物は「Creater earnings」が10%である。
- 本物は2021年9月に発売された。
「CryptoNinja NFT」は二次創作での商用利用を許可していますが、これは禁止事項の「CryptoNinjaの公式コンテンツであると誤解をまねく内容」に違反しています。
まとめ
NFTはデジタルコンテンツの所有を新たな方法で証明する革新的な手段ですが、著作権に関する問題も浮き彫りになっています。
NFTが著作権を侵害することなく成熟したエコシステムを築くためには、以下の点が重要です。
- アーティストと購入者の権利を保護するために、NFT取引における著作権の法的要件を明確化すること。
- NFTマーケットプレイスがアーティストの原作制作における権利を尊重し、偽造や模倣を防ぐための厳格な審査基準を確立すること。
- ブロックチェーン上の情報を活用して、アーティストと作品の関連情報を正確に記録し、真正性を確認する手段を提供すること。
NFTの台頭により、デジタルアートの新たな未来が開かれる一方で、著作権との調和を図るための努力が求められています。