【WebXイベントレポート】ひろゆき氏登壇「ビットコイン・Web3は世の中に必要か?」
2023年7月25日のWebXにて、2ちゃんねんる創設者の西村博之(@hirox246)氏と株式会社bitFlyer代表取締役の加納裕三(@YuzoKano)氏が登壇しました。
モデレーターは株式会社Tonari代表取締役の高橋弘樹(@takahashi_ntu)氏が務めました。
この記事では登壇内容の「Web3やビットコインは世の中に必要なのか?」についてレポートしていきます。
登壇者
西村博之氏
2ちゃんねるの創設者。
英語圏最大の匿名掲示板「4chan」管理人。
東京プラス株式会社代表取締役。
有限会社未来検索ブラジル取締役。
愛称・通称は「ひろゆき」または「論破王」。
引用元:Wikipedia
加納裕三氏
ゴールドマン・サックス証券株式会社等を経て、2014年に株式会社bitFlyerを共同創業。
以降、国内の法改正に関する提言や自主規制ルールの策定等に尽力すると共に、暗号資産交換業者であるbitFlyer USA, Inc.のCEO、bitFlyer EUROPE S.A.のチェアマンを歴任し、グローバルな視点で暗号資産交換業業界の発展に貢献。
現在、2019年に設立した株式会社bitFlyer Blockchainの代表取締役を務めるほか、(一社)日本ブロックチェーン協会(JBA)代表理事、(一社)Metaverse Japanアドバイザー等を務め、Web3業界の発展に向け意欲的に活動中。
高橋弘樹氏
映像ディレクター。
テレビ東京入社後、テレビでは『家、ついて行ってイイですか?』などを企画・演出。
同番組でギャラクシー賞、民放連賞。
Webでは『日経テレ東大学』を企画・制作統括。
チャンネル登録者は100万人超。
2023年3月に独立。
新メディア『ReHacQ』を立ち上げる。
著書に『TVディレクターの演出術』(ちくま新書)、『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、編著に『天才たちの未来予測図』(マガジンハウス)、『なんで会社辞めたんですか?』(東京ニュース通信社)など。
引用元:WebX公式サイト|スピーカー Hiroki Takahashi
概要
このセッションではビットコインとWeb3に触れ、今後の社会にブロックチェーン技術と仮想通貨は必要かどうかについて、さらにWeb3が社会の基盤として成功するかどうかについて議論が進みました。
また現在の問題点と未来の予想についても触れています。
NFTはうさんくさいのか?
NFTの売買に関する機能や制御の権限は企業が握っており、その企業が仮に倒産してしまえば、よくわからないデジタルデータがブロックチェーン上に残るだけでNFTは回収できないのではないか、とひろゆき氏が加納氏に質問を投げかけました。
この質問に対する加納氏からの回答は2つで
- 企業が管理しているタイプのNFTであれば、ありえる
- データがブロックチェーン上だけで流通しているタイプであれば、それはない
と応じました。
後者を例にとると、OpenSeaで売買したNFTを考えると、取引記録はブロックチェーンに記録されています。
OpenSeaが仮に閉鎖したとしても、ブロックチェーンに記録されているので、そのNFTは別の売買サイト(例えばtofuNFTなど)でもやり取りができます。
つまりある一つの売買プラットフォームが何らかの理由で閉鎖してしまったとしても、別のプラットフォームで同じく売買ができるのです。
ビットコインは投資対象として儲かるのか?
ひろゆき氏から加納氏へ、
「セミナーなどで紹介されているような仮想通貨はもう遅く、何百倍・何千倍と高騰する銘柄をつかむのは難しいのではないか。仮想通貨は儲かるのか」
という趣旨の質問がありました。
それに対し、
「タイミングの問題であり、10年前ならあり得たが今はさらに難しい。
ある程度成熟された株式、例えばトヨタの株価が今後1億倍になるのは難しい。それと一緒。
しかしまだまだ盛り上がると思っているなら、遅くない。」
と加納氏は回答しています。
ただし「絶対儲かる」などという宣伝文句には騙されないようにと注意喚起がありました。
セッションの終盤では、ひろゆき氏は仮想通貨に対し、金(きん)と同じように社会情勢が悪くなると仮想通貨が上がる特性から、ひろゆき氏は仮想通貨を中長期的に保有しておくことに対して肯定的な意見を述べました。
インフラとして価値があるのか?
加納氏はセッション全体を通して以下の考えを述べました。
- Web3が社会の基盤として成功するかどうか、インフラとして人々に受け入れられるかどうかはまだわからない。
- 単なる仮想通貨だけではなく、存在証明や個人の照合など、今までになかった使い方ができる。
- アプリケーションがでてくると社会のインフラになりえる。
ビットコインやNFTといったブロックチェーン技術に対して、革新的な技術であることを主張していました。
NFTの所有権とは?
データの所有権に関してひろゆきがこのような質問を投げかけました。
「例えばTwitterの初投稿がNFT化されて売買されましたが、それの所有権はどうやって証明されるのですか?」
それは証明できないと加納氏は回答しました。
ブロックチェーンではそのNFTの所有を証明できますが、そのIPの著作権を持っていることとは全くの別物であるというのです。
これはドラゴンボールを例に説明されていました。
ドラゴンボールの絵をNFT化することは簡単にできます。
そのNFTの保持者はブロックチェーンにより記録されますが、ドラゴンボールの著作権は鳥山明氏に有るため著作権は譲渡されません。
秘密鍵を持っており、そのNFTを移動させることができるために「所有している」と言えますが、だからと言ってその知的財産権を持っていることの証明にはならないと言います。
民法上、物に対しては所有権が適用されますが、デジタルデータによる成果物に対しては適用されません。
しかしながらNFTのホルダーは何らかのオーナーシップを持っているという感じを得ており、加納氏はそれを「所有感」と表現しました。
Web3の未来予想
セッションの最後に加納氏がWeb3の問題点と未来を語りました。
【問題点】
- 仮想通貨については新しいトークンを上場させるのが厳しい
- NFTについては著者の権利が守られない
- NFTは何を売買しているかわからない
【未来】
- 例えばNFTを契約書にして使う
- エンターテインメントだけではなく、技術としてブロックチェーンを使用する
- 既存のエコシステムに組み込む
- 少額決済のエコシステム
マンホールの写真を撮って位置情報とともに提出すると、マンホールを管理する業者から報酬をもらえるというエコシステムがあります。
これは業者の管理コストを抑える一方、労働者が空いた時間を利用して報酬を得るという、そういった既存のエコシステムにブロックチェーン技術を組み込む可能性を述べていました。
また現在のクレジットカードの送金では手数料が必要ですが、仮想通貨での送金は非常に簡単に行えることから、少額決済の可能性も示唆していました。
可能性もリスクもあるがそれらを含めて期待しており、消えないデータベースとして、NFTや仮想通貨だけではなく、いろんなユースケースが発展して社会インフラになればと思っている。と締めくくっています。
ライター所感
加納氏がブロックチェーンの使い方について一例を挙げたように、NFTやブロックチェーンはまだまだ可能性のある分野です。
まだ可能性に気づいていない分野もあるはずで、今アイディアとして出ているのはほんの氷山の一角にすぎません。
今までの概念を取り払えば、もしかしたらあっと驚く使い方が生まれるはずです。
「NFTは詐欺だ」「NFTに騙されるな」といった声を聞きますが、あくまでNFTやブロックチェーンは技術であり道具です。
道具の使い方がわからないまま、いま散見されるNFTが詐欺呼ばわりされる議論を鵜吞みにするのは危険であり、可能性を潰す行為です。
声の大きいインフルエンサーの発言や意見が正しいとは限りません。
使う側が正しい知識と使い方を学ぶ必要があります。