【イベントレポート】Move Hackathon by WebX DEMODAY

7月29日(土)、新宿の3RD GEARオフィスにて、WebXのスポンサーでもあるSui、Circle、Alexarが主催するMove HackathonのDEMODAYが、WebXのモメンタムのままに開催されました。様々なバックグラウンドを持つ参加者たちが一堂に会し、終始活気に満ちた雰囲気で各プロジェクトのピッチ、ゲストのトークセッション、懇親会が行われました。

今回、開発の中心となったのは、「Sui」というブロックチェーンです。
イーサリアムと比べ、高い処理性能、独自のデータ方式によりNFTの表現力が格段に上がっていることが特徴です。
※参考:Sui | Unlock the freedom to build powerful on-chain assets

プロジェクトのハイライト

Sui Axelar USDC Bridge

Axelarというブリッジプロトコルを用いて、EVM系チェーンとSuiの間でトークンのトランスファーが可能になりました。これにより、異なるブロックチェーン間での資産移動がスムーズに行えるようになります。

Annotation2Earn on Sui Chain

画像へのアノテーション作業に対する報酬を、NFTによって滑らかに実施することが可能になりました。画像はNFTと紐づけられ、そのデータはIPFSに保存されます。

Sui-Port

VCとZKを組み合わせた認証の仕組みを開発しました。これにより、店舗での年齢確認時に、個人情報を公開することなく認証ができるというユースケースが生まれました。

Umi Aggregator

SuiとAptosにdeployされており、トークンのスワップにおいて最適なレートの経路での交換を行ってくれるプロトコルです。

InstaSui

InstaSuiは、カメラで撮った画像を即時にNFTとしてmintするサービスです。NFTの発行数による月額課金モデルを導入しています。

トークセッション:Moveの開発体験〜Solidity, Cadenceなど他言語と比較して〜

言語の違いについて

Ara氏(Flow Tech Ambassador)wasabi氏(Umi Protcol)Imataka氏(Umi Protcol)の3名が登壇し、言語の違いについて議論しました。その中で、Sui MoveはオブジェクトIDの下にオブジェクトが振られ、コンパイルのタイミングで脆弱性が発見できるという特徴があるため、DeFiのような脆弱性にシビアなプロダクトに向いているということが指摘されました。
また、メタデータを動的に変化させられるという点で、表現力の高いNFTに向いているという意見が出されました。

言語とチェーンの関連性

言語とチェーンが密接に結びついていることのメリット、デメリットについて議論されました。
メリットとして、Suiのオブジェクト中心モデル、並列実行の特徴や、ガス代のプライシング(グローバルにガス代が変動することなく、プロジェクトの種類によって決まる)について言及されました。

デメリットとして、独自性の高い言語であるが故に、ドキュメントの整備が未成熟だと指摘されました。

Ara氏開発のプロダクト紹介:Suiの特徴を活用したNFT

Ara氏が開発したプロダクト(Sakutaro Poem NFTs on Sui)では、詩人のNFTをさまざまなブロックチェーンでフルオンチェーンで発行します。Suiチェーン上でNFTを発行する仕組みが今回実装されました。
所有者のアドレスによってNFTが変化する仕組みが実現されています。
また、Ara氏の別プロダクトでは、Suiブロックチェーン上に「神社」を作り、コントラクトでユーザが支払うトークンのお賽銭に応じて出力が変化するようなギミックが実装されました。これにより、ブロックチェーンとNFTの新たな可能性を示すプロジェクトが実現しました。

Ara氏は、スマートコントラクトは今後、オブジェクト中心、リソース指向に向かっていくはずだと述べました。Solidity < Move < Cadence の順に優れていると私見を述べました。

※Solidity: 主にイーサリアムのスマートコントラクトで使われる言語
※Cadence:Flowというブロックチェーンのスマートコントラクトで使われる言語

3年後のクリプト業界の展望

3年後のクリプト業界についての議論では、どのチェーンが勝者かというよりは、様々なブロックチェーンの共存が予想されました。また、企業がどのチェーンを選定するかについては、開発体験やそのチェーンでしかできないという独自性が重要との意見が出され、Suiはその点で独自性が高いと評価されました。

オピニオン

Move Hackathon by WebX DEMODAYは、ブロックチェーン技術の可能性を追求する場として、多くの革新的なアイデアが生まれたイベントでした。参加者たちは、最新のブリッジプロトコルを用いて、ブロックチェーン間での資産移動や、新たな認証の仕組みなど、これまでにないプロジェクトを生み出しました。
また、トークセッションでは、Sui Moveの特徴や未来のクリプト業界の展望について議論され、参加者たちに新たな視点を提供しました。開発言語の比較というテーマを通し、様々なブロックチェーンが共存する未来について、各々に問いが投げかけられました。


Web3は、イーサリアムなど分散性を追求する代わりに性能を犠牲にするチェーンが王座に君臨していますが、これからは分散性だけでなく実用性の重要さが増していくはずです。Suiのように、独自の仕組みをもち、それがユーザーフレンドリーな操作であったり、アプリケーションのリッチさにつながるブロックチェーンは、今後ますます注目を集めることでしょう。特に、高い処理性能や自由度の高いNFTを作れる強みが活かせるのは、ゲームの領域であるのでは、と考えます。

このようなイベントを通じて、ブロックチェーン技術の発展と普及が進むことを期待します。

鈴木 康男記者/エンジニア

投稿者プロフィール

2021年にWeb3に関するテクノロジーの急伸に衝撃と強い興味関心を抱き、ブロックチェーンに関するエンジニアリングを独学で学ぶ。
コミュニティやハッカソンでのプロダクト開発や、Web3に関する発信活動も行う。

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