流動性断片化の危機:LidoとLayerZeroのブリッジ論争解説

この記事では最近のLidoとLayerZero間でのブリッジ問題についての詳細な解説を行います。

対象読者:

  • DeFi(分散型金融)に興味を持つ人
  • 特にLidoとLayerZeroの動きに注目している人

LidoとLayerZero:一体何が起きているのか

Lidoのコミュニティでは、Avalanche・BNB Chain・ScrollへのstETHのクロスチェーン転送を支持するかどうかが熱く議論されています

その中で、LayerZero Labsが新しいブリッジを展開しました。

コミュニティの反応

Lidoのコミュニティは、LayerZero・Avalanche・BNB Chainが誤解を招くマーケティングキャンペーンを行っていると批判しています。

ガバナンスとセキュリティの課題

Lidoはこのブリッジが公式でなく、監査も受けていないと明言しています。
そのため、ブリッジを使用する際には細心の注意を払うよう呼びかけてます。

LayerZeroのOFTプロトコルとは

LayerZeroは、Ethereum Virtual Machine(EVM)と互換性のあるチェーンでの転送を容易にするOmnichain Fungible Token(OFT)標準を導入しています。

Omnichain Fungible Token(OFT)とは?
LayerZeroがブロックチェーンの相互運用性を改善するために立ち上げた標準です。
あらゆるアプリケーションがLayerZero Endpointスマートコントラクトから様々なチェーンにわたって統一されたトークン標準をネイティブにMintしたりBurnすることを可能にすることで、ブリッジに関連する問題の解決策を提示します。

増えるリスク要素

Lidoコミュニティは、LayerZeroのOFTプロトコルがLidoに追加のリスクをもたらす可能性があると警告しています。

流動性の断片化の懸念

wstETHの流動性が「LayerZeroのOFT」と「Lidoのネイティブデプロイ」の間で断片化する可能性が指摘されています。

https://x.com/litocoen/status/1717428071131971624


すでにレイヤー2ネットワークの「Scroll」がレイヤー 1とレイヤー2間でネイティブなブリッジを持っています。
これが流動性の断片化を加速する可能性があります。

wstETHとは
Wrapped stETHの略。DeFiプロジェクトのLido Financeが発行するトークンです。
stETHを預けると受け取ることができ、保有するだけで報酬を得られます。
参考記事:仮想通貨wstETHとは|stETHと比較しつつ解説

結論:コミュニティとガバナンスが重要

この問題は、DeFiコミュニティにおけるガバナンスとコミュニケーションの重要性を再確認させています。

オピニオン

ブロックチェーンの根幹はパーミッションレスにあります。
しかしLayerZeroのような実績のあるプロトコルが好き勝手にトークンをブリッジしてしまうことによって、流動的の断片化を招きます。

トレードオフではありますが、結局行く末を判断するのは市場であり、どこに資産を置くかは自由です。
LayerZeroはLidoの許可を得ていないことは明記した上で、自由にトークン移転する分には構わないでしょう。

LayerZeroが野良プロジェクトではなく、影響力があるのに好き勝手している点が、Lidoコミュニティの逆鱗に触れている問題だと思われます。

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記事ソース:LayerZero Deploys stETH Bridge Without Approval From Lido Governance

鈴木 康男記者/エンジニア

投稿者プロフィール

2021年にWeb3に関するテクノロジーの急伸に衝撃と強い興味関心を抱き、ブロックチェーンに関するエンジニアリングを独学で学ぶ。
コミュニティやハッカソンでのプロダクト開発や、Web3に関する発信活動も行う。

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